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2−5 作業船発注の判断要因及びプロセス等
本項では、海洋土木事業者が作業船を取得することについて、どのような要因が作用し、またどういった検討過程を経て取得の可否を検討していくかといった、いわば作業船発注プロセスを、主として海洋土木事業者の立場から検討する。
【1】作業船取得にかかる検討

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作業船を取得すべきかどうかに関する検討材料(判断材料)の主な項目としては、海洋土木事業者のヒアリング等から上記の諸点が考えられる。
まず、外部要因として、今後の海洋土木工事の発注量や、工事についての受注見込みが検討される。また、それと同時に、工事動向(見込み)と対比して、同業他社の作業船の保有状況等を勘案し、取得することが得策であるかといった観点からの検討も行われる。さらに、投資環境(タイミング)の見地から、資金調達コストとなる金利動向も重要な影響を与える判断材料となる。
また、経営に関する内部的な判断材料としては、既存の保有船の老朽度合いに応じ、補修費、維持費等のコストがどの程度の負担となっているのかという点、あるいは取得に対する代替案として、クレーンのみを搭載替えするなどの方策が検討される。また、取得するとした場合には、いうまでもなくその投資が工事稼働により採算がとれるのかどうかという投資採算性が重大な判断材料となる。その際には、将来的な転売可能性についても、投資資金のリスクヘッジの観点から考慮され、転売の容易性などについても検討される。さらに、作業の効率化、コストダウンのための投資として、作業船に伴うトラプル回避による稼働日数の増加や、稼働可能となる条件向上による稼働日数の増加、あるいは随伴船の不要化に資するための新たな作業船の取得などが判断材料として重要なポイントを占めている。
次に、業界における自社のポジショニング、あるいは経営戦略についての判断材料として、まず海洋土木事業者としての自社のポジションが、例えば工事においては大型工事を志向するのか、漁港など比較的小規模の工事受注を狙うのかなどの意図により、取得に関する判断は大きく異なる。また、経営戦略として、例えば、工事稼働エリアを拡大化するために作業船を取得する場合や、あるいは受注戦略として、海洋土木工事を受注するためにあえて作業船を取得

 

 

 

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